加賀友禅(かがゆうぜん)加賀友禅の特徴は、「加賀五彩」といわれる臙脂、藍、黄土、草、古代紫などの色を基調にして描かれる花や植物、風景など自然をモチーフにした写実的なデザインにあり、武家風の落ち着いた気品があるといわれています。
牛首紬(うしくびつむぎ)牛首紬の特徴は、二頭の蚕が共同で作った玉繭から直接糸を引き出して製糸した太く節のある絹糸を緯糸で使うところにあります。そのため野趣に富んだ素朴な美しさと独特な味わいがあります。
加賀繍(かがぬい)加賀繡の特徴は、模様が生地の表裏とも同じであるため糸切れなどの補修が容易であることや、肉入れ刺繍やボカシなど立体感のある技法から生まれる豪華で繊細な表現にあります。一針一針丹精する加賀繡は、金糸・銀糸などを多用しながらも気品にあふれています。
能登上布(のとじょうふ)崇神天皇の皇女がこの土地に上布の作り方を伝えたことが起源といわれています。織幅に十文字絣を120個から140個織り出す絣合わせの正確さに定評があり、麻布の高級品・上布の中でも最上級とされています。
金沢和傘(かなざわわがさ)金沢和傘は、傘の中心部に和紙を四重に張るとともに周辺部に糸を二重・三重に張り、破損しやすい部分を補強するなど、丈夫なことが特徴です。戦後、丈夫で安価な洋傘に押されて需要は減りましたが、丈夫な金沢和傘は今も根強い人気があります。
手捺染型彫刻(てなっせんかたちょうこく)友禅や小紋の柄や文様を染めるための型紙彫刻です。薄い和紙等を縦横に柿渋で張り合わせた紙を切り抜いてゆくのですが、その技法は半円形の小錐を使う錐彫や、正方形や星型などの文様に合わせた道具を使う道具彫りなどがあり、精緻な文様を彫り上げてゆきます。
九谷焼(くたにやき)九谷焼の特徴は、さまざまな色絵装飾(上絵付)にあります。素朴で豪快な「古九谷風」、全面に赤塗りで人物などを描く「木米風」、花鳥山水等を描いた彩色金襴手で有名な「庄三風」、他に「吉田屋風」「飯田屋風」「永楽風」など、各時代、各窯の特徴ある作風があります。
輪島塗(わじまぬり)輪島塗の特徴は、輪島特産の「地の粉(珪藻土の一種)」を漆に混ぜて繰り返し塗る本堅地技法や、木地のいたみやすい上縁に生漆を塗る「地縁引き」などの丁寧な手作業から生まれる堅牢さにあります。使いこむごとに美しさを増す輪島塗は、用と美を兼ね備えた漆器です。
山中漆器(やまなかしっき)山中漆器の特徴は、轆轤を使った挽物技術にあります。木地の肌に極細の筋を入れる加飾挽きは、山中漆器が最も得意とするものです。また、豪華な高蒔絵を施した茶道具、特に、棗の制作には定評があります。
金沢漆器(かなざわしっき)金沢漆器は量産よりもむしろ一品物の美術工芸品といった趣が強く、調度品や茶道具が主に作られています。堅牢な塗りと高蒔絵、肉合研出蒔絵などの高度で繊細な加飾の「加賀蒔絵」として知られています。
珠洲焼(すずやき)現在の珠洲焼は、長らく途絶えていた珠洲焼を昭和51年に復活させたもので、須恵器の系統を継ぎ、釉薬を使わずに穴窯で焼き締める技法を用いています。珠洲の土は鉄分が多く、1200度で焼くと薪の灰が溶け、それが自然の釉薬となって渋い黒灰色になります。
大樋焼(おおひやき)大樋焼は、茶道と深く関わりながら発展してきた焼き物で、現在では茶碗、水指、花入のほか食器なども作られています。土作りから本焼きまで一貫して手作業で行われ、特徴である飴色の釉薬には雪国にふさわしい素朴で暖かい味があります。
茶の湯釜(ちゃのゆがま)昔のナベや釜などをつぶした「和鉄」を熔かして、外型と中型の間に流し込んで成型した後、酸化鉄で色を付けて仕上げます。30~50もの種類がありますが、その形は時代とともに変化してきています。茶道の盛んな金沢で脈々と受け継がれてきた工芸品です。
金沢箔(かなざわはく)金沢箔の特徴は、金の輝きを失わせることなく1万分の1ミリの厚さ、10円硬貨大のものを畳1枚ほどの広さにまで均一に広げる職人の技術にあります。さらに気候風土や水質が製箔に適していたことで、金沢は金箔の国内生産の約99%を占めるといわれています。
和紙(わし)金沢市の二俣は献上紙漉き場として加賀藩の庇護を受け、加賀奉書、杉原紙、高檀紙など高級な公用紙が漉かれていました。このほか県内には川北町の「雁皮紙」、輪島市の「画仙紙」などがあります。
桐工芸(きりこうげい)金沢の桐工芸の特徴は、蒔絵加飾にあります。木目の美しさに華麗な蒔絵を施している工芸品は全国でも数少ないものです。耐湿、耐火性に優れている桐の特性を生かした桐火鉢や花器、灰皿、菓子器などが生産されています。
檜細工(ひのきざいく)軽くて通気性も良く丈夫な檜細工は、山仕事や農作業用の笠として発展しました。現在は、檜笠のほか網代天井や籠、花器なども作られており、素朴な民芸品として親しまれています。
加賀象嵌(かがぞうがん)象嵌とは、鉄や銅合金などの地金の表面を彫り、色彩の異なる金や銀、四分一(銀と銅の合金)などを埋め込んでいくものです。加賀象嵌の特徴は、この埋め込んだ金属が抜け落ちないように表面より奥が台形型に広くなっている「平象嵌」という技法にあります。
金沢表具(かなざわひょうぐ)金沢表具は、京表具の流れをくみ、百万石文化を反映してどっしりとした渋い仕上がりが多く、寸法は金沢の町家に合わせ、京寸法より短めです。現在は金沢市を中心に古い掛け軸などの文化財の修復にも携わるなど、高度な技術を誇っています。
竹細工(たけざいく)茶道や華道の隆盛と共に発展してきました。以来、生活用品も多く作られてきましたが、工業製品の台頭でそれらは減少し、現在では、網代編を主体とした高度な模様編で茶道具や花器などが作られています。
鶴来打刃物(つるぎうちはもの)旧鶴来町(現白山市)は元々、刃物鍛冶が盛んな土地柄で、農耕用から山林用、家庭用まで、生活の中に息づく刃物が作られていました。今では非常に珍しくなった「野鍛冶」により、クワ、カマ、ナタなどを製作しました。
金沢仏壇(かなざわぶつだん)金沢仏壇の特徴は、上品な蒔絵の美しさにあります。耐久性を重視した木地、木肌を生かした彫刻、加賀彫りの金具、障子の紗生地に金糸の刺繍、蒔絵に施された象牙や青貝の象嵌、金箔を多用した加飾から「蒔絵仏壇」ともいわれています。
七尾仏壇(ななおぶつだん)七尾仏壇の特徴は、堅牢な作りにあります。主に能登の農家向けに受注生産されてきたので、扉は何層式にも折られる大型のものが作られ、運搬に便利な解体できる「枘組み」という技法も開発されました。
美川仏壇(みかわぶつだん)美川仏壇の特徴は、漆を何層にも塗り固めたものに型を用いて立体的な紋様を施す「堆黒」の技術にあります。青森ヒバやイチョウを使った太くて丈夫な木割や錆地による堅牢な下地塗をもとに、内扉に研出などが多用されています。
七尾和ろうそく(ななおわろうそく)安定した美しい炎が好まれる和ろうそくは、芯作りが重要です。イグサの髄を下地の和紙に巻きつけ、特殊な糊をつけた真綿で仕上げた芯はしっかりとした太さを持ち、安定した炎を作り出します。
加賀毛針(かがけばり)加賀毛針は、原材料に鳥の羽毛を使い、その接合部分に漆や金箔を施すなど、美しさと気品にあふれ、また極細の絹糸で丁寧に巻き付けているので耐久性にも優れています。近年はその技術を生かしてアクセサリーなど、時代に合った用途にも幅を広げています。
加賀竿(かがさお)加賀竿は、全天候に対して耐久性があり、かつ軽く扱いやすくするため、若竹を高熱加工して強靭さをもたせ、さらに漆塗で補強と装飾性を加えています。このようにして長期使用にも耐えられる堅牢さをもった実用的な美術工芸品ともいえる加賀竿ができあがります。
郷土玩具(きょうどがんぐ)城下町金沢の郷土玩具としては、獅子舞や加賀鳶の姿の「加賀人形」、「加賀八幡起上り」、「米喰いねずみ」、「もちつき兎」などがあります。もともと子どもたちの玩具ですが、縁起をかついだり、誕生祝いや病気見舞いにも使われているものもあります。
琴(こと)江戸時代には武家の女性の教養の一つとして数えられていた琴は、明治以降も女性のたしなみとして城下町金沢の生活に根づいていました。金沢の琴の特徴は、蒔絵や螺鈿をふんだんに使った雅なものが多く、楽器の域を超えて芸術品や装飾品といった趣があります。
三弦(さんげん)三弦は通称「三味線」と呼ばれ、邦楽や民謡、長唄には欠かせない民俗楽器として、芸能遊芸の非常に盛んな金沢にいまでも受け継がれています。今も常磐津や長唄を習う人の多い金沢では、三弦の生産が行われています。
太鼓(たいこ)石川の太鼓は音が良いことで全国に知られています。原木のケヤキやセンなどの乾燥から始める一貫作業によって作られており、特に皮は江戸時代初期から伝わる技法と霊峰白山を源とする手取川の清流によって鍛えられ、優れた耐久性と独特な音色が生み出されます。
銅鑼(どら)材料は銅と錫の合金である砂張と呼ばれる合金が使われています。 鋳型に流し込んで形成し、表面をまんべんなくたたいて金属を締めた後、焼き入れ、色付けを経て完成した銅鑼は、深い余韻を残した柔らかな音色で茶事席を静めてくれます。
加賀獅子頭(かがししがしら)前田家藩主・利家の入城祝いの獅子舞から発展した加賀獅子頭は、八方睨みの眼光も鋭く他産地のものより大きいのが特徴で、原木には白山麓の桐が使われています。かつては、町の守護として各町内に1基、それぞれに名工の手による作品が所蔵されていました。
加賀提灯(かがちょうちん)加賀提灯は、竹ヒゴを1本1本切断して骨にすることで、長い竹を螺旋状に巻いたものとは異なり、伸びが多く、1本が切れても全部がはずれることがない丈夫なものになりました。現在では祭礼用や装飾用として製作されています。
加賀水引細工(かがみずひきざいく)水引は、元来贈り物の飾りとして主に祝事に用いられました。語源は、麻などを水に浸して皮を剥ぎ、紐としたことにあるといわれ、紙の発達と同時に美しい水引ができたものと伝えられています。松竹梅や鶴亀、宝船飾りなどに加え、近年では人形も作られています。
能登花火(のとはなび)割り物と呼ばれる打ち上げ花火は、星・割薬・玉皮・導火線の4つの部分から構成されています。この中で「星」と呼ばれる火薬の塊が、光や音となって空中を飛ぶ、花火の命にあたる部分です。1つの花火にはこの星が、百個から数百個組み込まれています。