終了
企画展
1F
2F

玉繭変身物語 -カイコから牛首紬へ-

2012/11/30(金) 12/30(日)

会 期: 2012年11月30日(金)- 2012年12月30日(日)
展示室: 1F エントランスホール展示スペース、2F 第3展示室
作品数: 約120点
協 力: 石川県牛首紬生産振興協同組合

全国の伝統織物産地の中でも一企業の中で糸作りから織りまでの全工程を一貫して行う体系を持っているところは極めてめずらしく、その特徴を生かし、本企画展では、牛首紬製作の全工程に渡って
その実際をパネルや模型を使って分かりやすく紹介します。
又、牛首紬の原材料である玉繭については、これが牛首紬の特徴となる重要な役割を果たすため、普通の繭から引き出された糸との比較を通じて、詳しい説明をしています。

本企画展は以下のような2部構成となっています。

Part 1:牛首紬の原料や道具、製作の実際とその作品を紹介しています。
(1Fエントランスホール展示スペース)

Part 2:Ushikubi Tsumugi Stripe Gallery (牛首紬ストライプ・ギャラリー)
ごく少量しか生産されていない先染めの糸を用いて製作した縞柄の生地を一堂に集めたギャラリー。従来の着物の用途から一歩前進して、テキスタイルとして幅広い用途に使っていただけるよう製作した広巾のものも紹介しています。(2F第3展示室)

Ushikubi Tsumugi Stripe Gallery
展示室の壁を埋め尽くす牛首紬。アンティークの椅子に座って心いくまで鑑賞できます。
もちろん、お気に入りがあれば購入できます。

本企画展は、牛首紬を着物地という観点からではなく、テキスタイルとして取り上げた企画展です。ぜひ牛首紬の新しい可能性を工芸館で体感して下さい。

<生産者からのメッセージ>
牛首紬。
この不思議な名前は、生産地である石川県白山市・白峰の旧地名(牛首村)に由来しています。

霊峰白山の麓に位置する典型的な山村で、冬になると積雪が3~4メートルにもなる日本有数の豪雪地帯です。一帯は傾斜地で耕地が少なく、古くから出作りという農業形態が発達しました。これは、集落から少し離れた山間部に小屋を持ち、春になるとそこへ移り住んで雑穀農業を行い、晩秋に収穫物を持って家に帰るというものです。 これらの人々にとって重要なものが養蚕でした。
貴重な現金収入の手立てとして必須の作業で、生糸にするための上質な繭が売買され、それ以外はくず繭として扱われました。このなかに、2頭の蚕が共同で1つの繭を作る「玉繭」があり、これを主として織られてきたのが牛首紬です。

雪に閉ざされる長い冬、女たちは糸を紡ぎ、機を織りました。
暖かな春を夢見るように、いとしい人を思うように一心に。

それは世代から世代へと時を越えてつながり、伝えられてきました。自然を生かし、自然に生かされるという環境の中で、山村特有の暮らしを営んだ山の民たち。そんな彼らが育んだ山の文化の一つが牛首紬なのです。