空間を仕切るNOREN、この1枚の布に便利さと情緒を見る
2013/5/31(金) ~ 6/30(日)
会 期:2013年5月31日(金)- 6月30日(日)
展示室:1F エントランスホール展示スペース
作品数:21点
図案を描き、型紙を彫り、麻の布に植物染料を用いて型染めする。
この型染めという伝統的な染めの技法をなんとか現代の生活の中に取り入れられる形で提案
できないか、本企画展は、その可能性を探るための企画展です。
染織工芸作家・宮﨑岳志さんが、植物染料を用いて型染めしたNORENを中心として、作品や活用
方法、制作工程を紹介します。
古くは防寒用として、又、内と外の仕切りとして用いられてきた暖簾ですが、これを現代生活の中で活用するとどのようになるのか。
休息(睡眠)のスペース、食事のスペース、仕事や勉強のスペース・・・様々な機能を持った
スペースを独立した空間とするために使う、そんな新しい役割を与えることで、若い年代の方々が
使ってみたいと思う作品とその使用例を展示・紹介しています。
手拭い
<出展者メッセージ>
能登に移住して8年 が過ぎた。
能登に移ってからは植物染料のみで制作しようと自分に誓っていたので、移住直前に作った作品は
化学染料で600色以上の色を出し、一枚のキモノを作った。作品としての周囲の評価はいまひとつ
だったが、これで化学染料に別れを告げることができたので僕は満足している。
植物染料は化学染料に比べると、思い通りの色が出せない。化学染料なら出せる色も出せない。
しかし、植物染料を使い始めてから「色」に愛着が湧いてきた。1つの色に対する思いが変わった。
なので、最近の作品は「1柄に1色」なものが多い。それは色と柄を1対1で向き合わせたいからかもしれない。
1つの作品を仕上げるまでには様々な工程があるが、その中の1工程が少しでも狂うと植物染料は
敏感に反応する。いつまでたっても、何年やっても気が抜けない作業の繰り返しが果たして僕に
合っているのかは今も疑問だが、時折やってくる「つくることの喜び」が、大きな支えとなり次への意欲となっているのだと思う。
10数年前、京都で友禅染をされていて現在は人間国宝の方のご自宅に半ば強引にお邪魔した際、
ある一文を小さなメモ用紙に書いて僕に渡してくれた。
「芸術は拘束から生まれ、闘いに生き、自由によって死す」
先生が僕にこの言葉を渡した真意は未だにわからないままだが、いつまでも心の底にひっそりと
居座っている。(宮﨑岳志)
<宮﨑岳志さんプルフィール>1970年長野県生まれ1991年国立高岡短期大学 産業工芸学科 卒業
株式会社アイ・アド(大阪府大阪市)勤務1996年寺岡染匠房(大阪府吹田市)勤務2002年金沢美術工芸大学 工芸科科目等履修生 修了2005年金沢卯辰山工芸工房 修了
現在、石川県志賀町にて創作
<協力>
(右) Noren "雀"
(中央) "仕切り"としての手拭い
(左) Noren"菅笠"(手前)と"飛雲"(奥)