ゆかたと型紙
2013/7/3(水) ~ 7/31(水)
会 期:2013年7月3日(水)- 2013年7月31日(水)
展示室:1F エントランスホール展示スペース、2F 第4展示室
作品数:ゆかた15点、型紙 50点、資料 4点
夏に相応しい「ゆかた」を取り上げ、石川県内で僅かに1軒残るだけとなってしまった型紙を用いて
手染めをしている坂口染工場の仕事を、テーマごとにPart 1とPart 2にわけて紹介します。
伝統工芸品は、新たな使い手を獲得する事でしかその技術を後世に継承していけません。
その為には、作り手が魅力ある製品を提示し、同時に消費者に対して新たな使い方を提案していく
ことが必要です。
市場のニーズの多様化や嗜好の変化に対応していくことがまさに求められていると言えましょう。
ゆかたに限ってみると、若い世代の人達の実際の着こなしは、個人的な好き嫌いは別として、すでに既存の枠を超え、自由に楽しむという域に達していると言っても過言ではありません。
「少し発想を変えればもっと自由にゆかたを楽しむ事ができる」― 工芸館からの提案です。
Part 1 (1F) 「ゆかたを楽しむ」
最近の若い世代の方々のゆかたの着こなしを見ていると、一昔前とは違い自由に様々なアイテムを
組み合わせ、自分らしくゆかたを楽しんでいます。彼らの着こなしはもはや「ゆかたは着物」という感覚ではなく、洋服の延長の様にも思えます。
Part 1では、自分の感性でゆかたを普通に楽しんでいる普通の若者の姿をゆかた地と共に紹介
します。(写真の方々はモデルではなく一般の普通の方々に協力して頂きました)
Part 2 (2F) 「ゆかたと型紙」
手染めのゆかたとその制作に使われている型紙を型染めの制作工程と共に詳しく紹介します。
最近では、型紙を使って手染めをする職人さんの減少とともに、紙を漉く職人さん、型紙用の紙を
作る職人さん、型を彫る職人さん、駒べらなどの道具を作る職人さんの激減により、品質の良い材料や道具の入手が非常に困難になってきています。
坂口さんが型染めに使っている型紙は、主に明治・大正・昭和初期に手彫りで制作されたもので、
そのうちの50枚を、型を使って手で染め付けた熟練の技が光るゆかたや坂口さん所有の貴重な型紙
見本帳などと共にご覧頂きます。
<坂口幸市さんプロフィール>
祖父、中儀延氏(石川県重要無形文化財技術保持者)の唯一の後継者として、古くから金沢に伝わる細密な型紙による小紋を制作している。特に、二枚の型紙で一つの紋様を作る「二枚白小紋」が特徴的である。
1944年長野県に生まれる
1962年祖父、中儀延に弟子入り
1978年第19回石川の伝統工芸展 初入選(以後連続入選)
1981年28回日本伝統工芸展 初入選 奨励賞
(石川県立美術館買い上げ)
1982年第38回金沢市工芸展 初入選 金沢市商工会議所会頭賞
(以後連続入選)
第19回日本伝統工芸染織展 初入選(以後連続入選)
1983年日本工芸会正会員
1990年第31回石川の伝統工芸展 北國新聞社長賞
1991年第47回金沢市工芸展 金沢市長最優秀賞
1992年第33回石川の伝統工芸展 石川県知事賞
1998年第39回石川の伝統工芸展 特賞
2000年第37回日本伝統工芸染織展 文化庁長官賞
2002年第43回石川の伝統工芸展 特賞
2009年金沢市伝統産業貢献者表彰
第50回石川の伝統工芸展 第50回記念石川の伝統工芸展大賞
2011年石川県伝統産業優秀技術者功労者表彰
2013年第69回現代美術展 最高賞(石川県教育委員会会長賞、技術賞)
現在、金沢市で息子の裕章さんとともに加賀染小紋作家として制作を行っている。