終了
企画展
1F

FAST & SMART

2014/4/2(水) 6/1(日)

会 期: 2014年4月2日(水) - 6月1日 (日)展示室: 1F エントランスホール展示スペース作品数: 約60点

カップ麺の国内年間生産量は今や35億食に達し、国民1人当たりに換算すると年間約42個を消費していることになります。本企画展は、今や完全に日本の食生活の一部となっているカップ入りのインスタント食品を、制作工程や目指すところがその対極にある伝統工芸と合わせる事で、双方にとっての新たな利用機会と利用方法を提案しようとするものです。


年配の消費者には、インスタント食品を加熱調理後に別の食器に移し替えて食べる方々が多いようですが、若い世代の多くは容器から直接食べています。伝統的工芸品がなかなか若い世代の日常生活に入り込めない現状を考えると、こういった食品と組み合わせる事で、まさに手軽にさっと(FAST)、でもちょっと他の人とは違ったスタイルでおしゃれに(SMART)食べられる新スタイルを提案することが出来るのではないでしょうか。この企画展は、インスタント食品世代に向けた伝統工芸サイドからの新たな楽しみ方の提案です。ぜひお楽しみ下さい。


出展者 (敬称略・あいうえお順):相川繁隆 (金属)、浅田明彦 (挽物)、大島太郎 (漆)、大野麗子(漆)、大渕由香利(陶)、河上知明(金属)、河上真琴(金属)、小島 尚(木)、佐藤貴彦(指物)、四井雄大(陶)、芝山佳範(漆)、田中晴樹(木)、玉井智昭(木)、中島正士(石)、中矢嘉貴(木)、蜂谷友季子(漆)、引持玉緒(漆)、樋口知有里(陶)、久恒俊二(友禅)、廣瀬由利子(水引)、ヒロネアヤコ(テキスタイル)、船木大輔(陶)、宮﨑岳志(染)、村田肇一(陶)、本江和美(竹)、モンデンエミコ(テキスタイル)、柳内谷吉恵(染)、渡辺秀亮(石)

<作品とコメント紹介>

作品のいくつかを紹介します。

●河上真琴・金属
気持ちを整える3分間。
高いレストランでは料理が運ばれてくる少し前になると、ウェイトレスが磨きこまれたナイフとフォーク、スプーンを持ってきて物腰淑(しと)やかに綺麗に並べていく。
そろそろだという期待が、期待が、思わせぶりな準備によって一層高められる。それで段々と意識が調理に集中してゆくのである。料理の食い手にしろ、あるいは物語の読み手にしろ「受ける側の心構え」で味わい深さが変わるのが常である。
この「カップ麺の取っ手」は最初の3分間ではフタ押さえを兼ねた箸置きになる。割り箸の割り溝に合わせて箸を立てると、まるで侍が刀掛けに愛刀をそっと立て掛けるような格好になる。侍ならそのまま正座で、愛刀の姿を眺めながら心を深く鎮めるところであるが、皆様にも3分間のささやかな心の備えの後、いつもより澄んだ心持ちでカップの蓋をそっと捲ってほしい。待ち構える準備が完成していれば、そこに立ち上る湯気の薫りもまた格別だろう。
その後はカップに逆さに嵌めて鉄の持ち手として、麺と同時に指先の手触りでも、ささやかなスパイスとして味わって欲しい。即席麺ひとつに何を面倒な。しかし無駄こそ文化の肥やしであり、味わいだと私は思うのである。

●廣瀬由利子・水引
日本人の主食であるお米と一番の相性の良いみそ汁を選びました。「米と一汁一菜を贅沢に食べること」そのためのグッズたちです。季節やシチュエーションにあわせて色をお選びください。堅牢な飾り糸を巻いた水引は水にも強いので、軽く水洗いができます。食事のあとは、グリーンポットカバーや小物入れなど、使い道は色々。あなたにお任せします。

●浅田明彦・挽物
お気に入りの木の器でカップヌードルを食べたい!けど、移し替えるのは面倒・・・。そんな時は詰め替え用カップヌードルリフィルでいつもの味でおいしくいただきます!ナチュラルな木の器は優しくてどこかほっこりできる親しみやすい印象です。山で食べるカップヌードルは格別の味。さらに木の器で特別な味を楽しんではいかがでしょうか?