「絶滅危惧種・能登上布を知ろう」展
2012/6/2(土) ~ 6/28(木)
会期:2012年6月2日(土)ー2012年6月28日(木) 最終日は15:00まで
展示室:1F エントランスホール展示スペース・2F 第4展示室
作品数:約45点
中能登町や羽咋市は古くから麻織物の産地として知られており、昭和初期には100軒を超える織元がありましたが、1988年にはそれがただ1軒となり、現在に至っています。今回の企画展では、その最後の1軒となった織元、山崎麻織物工房の全面的な協力を得て、part 1 と part 2 の2部構成で、「伝統的なもの」と能登上布の「新たな試み」の両方を紹介します。
Part 1 「Traditional」では、能登上布の原料・道具・柄のデザイン・制作工程について実物を提示しながら、原料から完成までの過程を詳しく紹介し、合わせて伝統的な能登上布の作品もご覧頂きます。尚、会期中毎日、専門の織子の方が企画展会場で能登上布の織りの実演を行います。
Part 2 「Innovative」では、今年から立ち上げられる新ブランド「RAMIE EPOCH」(ラミー・エポック)の最初の作品ライン「能登上布スカーフ」を紹介します。
<能登上布織元 山崎麻織物工房 紹介>
質・量ともに日本屈指の上布の産地である能登に今日まで伝統の技を継承する最後の 織元、山崎麻織物工房。県内外から集まった若者たちに支えられ、工房では昔ながら の機音が響き渡っている。
工房の歴史
1981年 初代・新左衛門が能登上布の紺屋(染め屋)として創業する
1920年 二代目・新二が能登上布の織元「山新」として起業する
1951年 石川県主催の優秀織物生産競技会にて三等賞を受賞する
1960年 能登上布が工芸技術の部で石川県の無形文化財に指定される
1982年 最盛期120軒以上あった能登上布・織元の最後の一軒となる
2005年 石川県より「いしかわの工芸・百選」にて91通り蚊絣が優秀賞を受賞する
2012年 独自ブランド「ラミー・エポック」を立ち上げ、新企画商品の開発を始める
製織者数: 13名(出機含む)
年間生産量:300-400反
主な製品: 着尺、帯、ストール、和装小物等
< 能登上布 四代目織元 山崎 隆さんからのメッセージ >
Part 1 「Traditional」
能登上布の歴史は古く、およそ二千年前、第十代崇神(すじん)天皇の皇女が現在の中能 登地区に滞在した折、地元の民に機織りを教えたことが起源と言われます。「蝉の羽の ような」と形容される、軽さ、透け感、ハリ感は能登上布の特徴で、その涼やかな風合 いは、一度袖を通されたならばすぐにご納得いただけることと思います。また、櫛押し 捺染(くしおしなっせん)・ロール捺染などの独特な絣(かすり)染め技法や多くの製造工 程により造りだされた精緻な絣模様は、古くから盛夏の手織物として着物愛好家の方々 から絶賛を得ています。質・量ともに日本屈指の上布の産地であるここ石川県・能登に おいて、創業120年、今日まで伝統の技を継承する最後の織元のもとに、全国から能 登上布の美しさに魅せられて訪れた若者たちに支えられ、創意工夫をしながらどうにか 存続して参りました。昔ながらのこの機音を決して途絶えさせないためにも、この機会 により多くの人々に能登上布を知ってもらいたいと切に願っています。
Part 2 「Innovative」
今回新規に独自ブランド「ラミー・エポック」を立ち上げ、その第一弾商品として 能登上布・サマーストールをご紹介いたします。縮み仕上げによるソフトで涼やかな上布の風合いを是非お試し下さい。上布とは上等な麻織物のことで、その原材料である「苧麻(ちょま)」のことを英語で RAMIE (ラミー)といいます。それに、「新しい時代」という意味のEPOCH (エポック) を組み合わせて新しいブランド名にしました。19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパを中心に開花した「アール・ヌーヴォー(新しい芸術)」と同時期、仏・パリが繁栄した華やかな時代のことを言う「ベル・エポック(良き時代)」という言葉からのインスピレーションでした。伝統を継承しつつ、従来の様式にとらわれない、現代の生活スタイルにマッチした商品作りを目指しており、能登上布の新時代を切り開いて行きたいと願っています。
◆ 併催イベント
能登上布・織りの実演
能登上布の織子さんが工芸館で毎日、織りの実演を行います。能登上布に関するお客 様の様々な質問にもお答えします。
日時:6月2日(土)ー2012年6月28日(木)
土曜を除く毎日: 10:00-12:00/13:00-17:00
土曜日: 13:00-17:00
場所:工芸館1F