川北と仁行 - 想いを漉く -
2012/10/4(木) ~ 11/27(火)
会 期: 2012年10月4日(木)- 11月27日(火)最終日は15:00まで
展示室: 2F 第3展示室
作品数: 約40点
本企画展では、加賀の手漉雁皮紙と能登の仁行和紙を紹介します。
加賀地方では、平安時代から和紙が漉かれていたと言われています。その生産が盛んになったのは江戸時代以降で、本企画展で紹介する加藤和紙も19世紀の初めから現在に至るまで紙漉きを続けてきました。雁皮紙は耐久性に優れ、なめらかで光沢があり、古くから金・銀の箔打ち紙や西陣織の台紙として使われてきました。現在ではそのほかに修復用にも利用されています。原料となるガンピは落葉低木で、栽培が困難なため、自生したものを採集して生産しています。
能登仁行和紙は、戦後、遠見周作さんによって始められた創作和紙です。杉の皮を原料とした「杉皮紙」がその代表的な作品で、壁紙として使用されていましたが、現在では後を引き継いだ京見さんにより奥能登の自然を具現化している和紙が制作されています。「海」、「山」、「植物」、「食」のテーマのもと、それぞれ地元に自生する草花や木の葉、土や貝殻、海草、小豆などを漉きこんだ和紙には独特の風合いがあります。
加藤さんの雁皮紙も遠見さんの創作和紙も、それぞれの特徴を生かし、現在では幅広い用途に用いられています。本企画展では、雁皮紙のバック、仁行和紙は和紙そのものをご覧いただきます。どちらも県内では唯一の作り手の作品です。どうぞごゆっくりとご覧下さい。
<出展者紹介>
加藤和紙: 1973年に亡くなった初代市兵衛さんからスタートした加藤和紙は、現在まで加賀雁皮紙を漉き続けてきた。大正末期頃からは箔打ち紙を作っていたが、近年では様々な用途の紙を漉くなど、新たな商品開発にも取り組んでいる。
遠見京美さん・和之さん: 昭和24年頃、遠見周作さんによって創作されたスギを原料とした手漉き和紙「杉皮紙」は、紙漉きを引き継いだ娘の京美さんとその息子さんの和之さんによって作り続けられている。杉皮紙以外にも「植物」、「海」、「山」、「食」のテーマで、山野草や穀類、海草、貝など様々な素材を漉きこんだ手漉き和紙を制作している。
<能登仁行和紙>
杉やあすなろの山林に囲まれた奥能登三井町で、先代遠見周作が創案したのが仁行和紙です。その代表作とも言えるのが、杉の皮を使った「杉皮和紙」と呼ばれる作品です。元々は戦時中に中国の竹を使っての紙漉きを見たことからヒントを得て、野生の楮で漆器を包む和紙作りから始めたところ、製材所に置かれた杉の木の皮を目にし、杉皮での和紙漉きを思い立ちました。試行錯誤の末に、ようやく木の皮の繊維を生かした素朴かつ大胆な「杉皮和紙」が生まれました。現在はさらに能登の自然な風合いが生かされた、草花や貝などを漉きこんだ作品や染め紙等、創作和紙として、書はもとより、壁紙、襖紙、工芸品用等、多様に用いられています。(遠見京美)
◆ 併催イベント
手漉き和紙ワークショップ「My 手漉きハガキを作ろう!」
普段はメールで済ませてしまうやり取りを、手作りのはがきでしてみてはどうでしょう。
作って楽しく、もらってうれしい植物を漉きこんだ手漉きのはがきを一緒に作りましょう。
日 時: 10月20日(土)・11月24日(土)
両日とも10:00ー12:00/13:00ー15:00
場 所: 工芸館1F
講 師: 加藤和紙製作所のみなさん
内 容: 様々な花や植物を漉きこんだポストカード制作
参加費: ¥525(材料費)
予 約: 不要。直接工芸館へお越しください。