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2F

工芸館企画展 「万年筆という小宇宙」

2016/2/5(金) 4/4(月)

会期2016年2月5日(金)-4月4日(月) 最終日は15:00まで
展示室2F 第3展示室
作品数32点
万年筆制作者朝倉 洋、大下香仙、大下升盛、大角博明、岡崎晃岳、鬼平慶司、勝田 精、川口虚舟、川口倫史、北村白山、清瀬明人、坂本正春、坂本康則、笹田 博、鈴谷鐡五郎、
田村一舟、道上正司、東藤達也、鳥毛 清、西 勝廣、林 勝、針谷祐之、藤野松香、
村田千山、村田百川、師池一貴、山崎夢舟、吉田久斎

蒔絵・沈金万年筆のコレクター・守作 滋さん所有の万年筆30点と村田百川さん所有の蒔絵太軸万年筆2本の計32本を、ガラス作家・猪野屋牧子さんが今回の展示用に制作してくれたガラスの什器でご覧頂きます。
蒔絵や沈金の加飾が施されていても、物を書く道具として制作された万年筆。
美しいものを使う喜びからコレクションを始めたコレクター・守作さんの「使ってこそ」という思いを伝える企画展です。

<出展者メッセージ>

もともと文房具にはこだわりを持っていた私がコレクションを始めたきっかけは、あるテレビ番組で蒔絵万年筆の存在を知り、1本ぐらい持っていてもいいだろうと思ったことでした。
ところが、調べてみると一流といえるような蒔絵師、沈金師、それも石川県在住の方の手によるものが多いことがわかり、のめりこんでしまったのです。
文字を書く道具は色々ありますが、その中でも、万年筆は特別な存在とされ、多くの文豪が愛用の万年筆をもっていたことが知られています。
文字通り長く使い続けることができるからでしょう。
西欧にも装飾に凝った万年筆は多く存在しますが、蒔絵・沈金万年筆ほど手間をかけて作られた万年筆は西欧にはほとんど存在しません。
しかも、石川県内でも一流といわれる作家・職人、とうことは世界でも一流の作り手による万年筆なのです。
私は蒔絵・沈金万年筆は世界最高の万年筆だと思っています。
私が蒔絵・沈金万年筆にインクを入れて使っていると、ほとんどの人が「もったいない」といいます。確かにそうかもしれません。
漆は丈夫なものなので、使っても傷む心配はほとんどありませんが、やはり使えば目に見えない細かな傷はつくでしょう。
しかし、万年筆なのです。額に入れて大切に飾っておくなら、パネルや絵で十分です。
インクを入れて使ってこその万年筆です。蒔絵・沈金万年筆を一度使ってみてください。
文字を書いていて、ふと息を抜く。そのとき、手の中に美術品ともいえる小宇宙があるのです。
愛らしい小動物、あるいは美しい花々。じっと見入って気を休めるのです。
文字を書く時間が至福のひと時になります。
後に一言。今回は展示だけですが、本当は試筆してほしいと思っています。
万年筆は繊細な筆記具で、買ったそのままでは書き心地がよくないことがあります。
しかし、ペンドクターといわれるペン先職人に調整してもらうと、とても書き心地がよくなるのです。私の万年筆はすべて私の書き癖に合わせてペンドクターに調整してもらってあります。
見た目が美しいだけではなく、筆記具としての万年筆としても最高の調整がしてあるのです。
機会がありましたら、私の万年筆で試し書きしていただけたら、と思っています。
この展示を通して、蒔絵・沈金万年筆の魅力をご堪能いただければ幸いです。
(蒔絵・沈金万年筆コレクター・守作 滋)